
清純派リミット。
第1章 プロローグ
わたし、黒川椿(くろかわつばき)は古くから続く由緒正しい家柄である黒川家の一人娘。
お父さんとお母さんは海外赴任で忙しく、わたしは小さい頃から黒川家の現在の当主であるお祖母様、黒川菊(くろかわきく)にこの無駄に広い家で厳しく躾けられて育った。
『髪の毛は染めるものじゃありません』
『門限は8時』
『黒川家に相応しい作法と言葉遣い』
そして、
『成人するまで男女交際禁止、結婚するまで純潔を守ること』
大きな門のあるお屋敷、中庭、たくさんの使用人、綺麗な着物、高級な食事…
そんなものどうでもいい。
わたしはこの家のしきたりだらけの窮屈な暮らしにうんざりしていた。
もっと自由に、周りの女の子たちみたいに恋したりとか…
そういう普通に憧れていた。
清く正しく美しくなんて、やってられないーー
