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第22章 キンモクセイ by きぃな


【櫻井side】

またこの夢…

『ばいばーい、お兄ちゃん、またねー』

漂う甘い香りと、俺に向かって手を振る小さなおまえは…?

───
──


風に揺れるカーテン越しに、薄っすらと朝の光が射し込む部屋
目覚めた俺は起き上がり、窓辺に立って伸びをする

「ん……」

開け放たれた窓から、心地よい風と共に、鼻をくすぐる甘い香り

金木犀

この季節、この香りを嗅ぐと想い出す……

───約18年前

とある事務所に所属した俺は、スタジオで練習に励んでいた

一人、ちっちゃな男がトコトコと寄ってくる

二「俺、あなたが好きだ」
「……は?何言ってんの?俺、男だし。意味ワカンネー」

違う……

本当は俺がおまえをずっと見てた
ちっこいくせに、唄も踊りも上手くて
俺より後に入ったくせに…って、嫉妬から始まったはずなのに
いつの間にか気がつけば、おまえのコトを目で追っていた

俺にもプライドがある
おまえを認められない俺がいるうちは、おまえの想いに応えてやれない

だからそっけなくかわしたんだ

そんな無駄に高いプライドのせいで、それ以上の進展はなく、お互いくすぶった想いを抱えたまま、日々目の前のことに一生懸命で月日だけが流れていった

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