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第22章 キンモクセイ by きぃな
『どうやらアイツら、デビューするらしいぞ』
そんな声が聞こえて来たのは、ミレニアムイヤーまであと数ヵ月となった頃
俺とニノは顔を見合わせる
「おい、どうする?」
二「俺…あんまり乗り気じゃないよ…」
ニノの想いにはまだ応えていないけど、そこそこ仲は良い関係
「俺も。社長のとこに直談判行くか」
数日後、社長宅には本人が居なくて、机の上にはでっかく『嵐』と書かれた紙
「『嵐』はないわー」
二「だよね……」
でももうたぶん決定事項
受け入れてやってかなきゃならないんだろうな……
俺たち二人はトボトボと来た道を帰る
「あ、もう遅いし、ウチ泊まってく?」
二「…いいの?」
「これからの話もしたいしさ…」
ニノと二人で俺の自宅へ向かった
部屋へ着くと締め切っていた窓を開ける
心地よい風と共に甘い香り
俺のマンションのすぐ隣の家の庭に、金木犀の木が植えてある
この時期になると漂ってくるその香りが、何故か昔から俺は大好きだった
二「あ、金木犀、いい香りだよね。俺、好き」
『好き』
久しぶりにニノの口から聞いたその言葉に、ドキッとする