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第28章 あかつき by のさまじょ

俯いていたら、ぐいっと顎を持ち上げられた。


ニノの顔が近づいて来て、俺の唇をかすめていった。


「…ごめん…」


離れていこうとするニノの腕を、とっさに掴んだ。





”翔…さん…”



初めてニノに名前を呼ばれた日。


遠い目で俺を見つめるニノから目が離せなかった。


頬を染めて、まるで好きな女の子を見るような目で俺を見てた。


俺はいつも、そんな視線の先にいるであろう女に嫉妬した。


俺は男で…だから、ニノには相手にされないって思ってた…






「初恋…?」


「うん…俺の…初恋の人…」


「俺が…?」


「うん…」


右手の痛みも忘れて、俺はニノの顔を両手で包んだ。


「翔さんっ…手っ…」


「好きだ…」


「え…?」


「ニノ…ずっと好きだ…」


「翔…さん…」


「俺も…ニノが初恋…」


「え…」


繋がった部分が熱い…


「なんだ…ずっと初恋叶ってたのか…」


ニノが笑う。


「好きだよ…翔さん…」


ゆっくりと、ニノの顔が俺に近づいてきた。







あかつきの空が、俺達を見てた。





END

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