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第29章 まほろばの家 byアロエリーナ・のさまじょ・millie

「あぁ‥それなのに、治せなくてゴメン。

俺は能無しだ。何の力もない、クズ野郎だ‥」



だんだん情けなくなってきて、涙が溢れた。


和也の肩に顔を埋め、肩を震わせる。



和也は優しく背中をさすってくれていたが、

おもむろに両手で俺の頬を包み、

自分の目線まで持ち上げた。



「だから、無能じゃないって言ってるでしょ



そして、さっきより深い口づけをしてきた。



「どうしたら伝わる?こんなに好きなのに。

翔も俺を想ってくれてたなんて、嬉しいのに」



和也は切ない表情で、俺の顔を覗き込んだ。


――え、ちょっと待って、今なんて‥



「すっ‥好き?‥和也が、俺を?

まさか、さっき起きてたの‥?」



動揺して、声が裏返り、頬が熱くなる。



「そうだよ。寝たフリして、ちゃあんと

翔の昔話、聞いてたんだからねっ。

恥ずかしくて、目ぇ開けられなかったけどっ」



和也も、耳まで紅く染め上げていた。



「もっと翔に、ありがとうを伝えたい。

もう二度と自分を責めたりしないように‥

キスだけじゃ、足りないよ。

ねぇ、どうやって伝えればいい?」

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