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第53章 いーりじん by ちろ

「潤,翔くんに迷惑かけちゃだめよ?」

「わかってるよ!もう家の中入れよ!」

いくつになっても子供扱いする母親に送られて

「おばさん,大丈夫ですよ…ほら,潤行こう?」

1つ歳上の幼馴染み……今は恋人だけど…の翔くんと一緒に札幌を出発した…のが数時間前。


「うわっ…あったけー!」

「さすが日本の南国!」

俺らは今沖縄にいる。

高校3年生…無事に推薦で大学が決まって,ゆっくりできる冬休み。

沖縄旅行の名目は翔くんからの大学合格祝い。

でも本当は…付き合って初めてのお正月を2人っきりで過ごしたかったから。

「とりあえずホテルに荷物置きに行こう」

やりたいことはいっぱいあるんだから時間がもったいない!と,空いてる右手を引っ張られて

「ちょっ…翔くんっ!」

その絡められた指先に思わず顔が熱くなる。

「ん?」

半歩先を歩く翔くんが振り返って…
その向こうにある太陽の光が翔くんを照らすから,いつもよりも大好きな笑顔が輝いて見えた。

「これっ…」

でもそれよりも気になるのは繋がれた手で…

そこに視線を送ると

「ああ,別にいいだろ?誰も見てないよ?」

今度は腰をぐっと引き寄せられた。

慌てて周りを見渡すけど,確かに誰も奇異な目で見てる人はいなくて…。

太陽の下で翔くんと触れ合えることが嬉しくて,今度は俺から翔くんの手を取って歩き出した。

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