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第58章 楽園 by つぎこ







チャージしていた、最奥の水上コテージ。


水平線まで、視界を遮るものは、なにもない。

海に沈みゆく、金色の夕日と、金色に染まる海面。

テラスの手すりに座り、ぼんやりと眺める。



ここに翔くんがいてくれたら、なんてね…。

強がってはみたけれど、夕暮れ時は、やっぱり寂しくて…。


ワインをグビリ…。

ひとりの寂しさを、お酒で誤魔化した。


気がつくと、辺りはすっかり暗くなり、ボトルはほとんど空いていた。


ふふ。今夜は相当、酔いが回ってる。


幻までもが見えてきた。

テラスから延びる、海へと続く階段。そこから現れたのは、海のキラキラが映り込んだ、翔くん。

その幻は、真っ直ぐに俺の方へと歩いてきた。

そして、俺をぎゅっと抱きしめる。


翔くんの匂いだ…。

最近の幻って、匂い付きなんだ。


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