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第63章 デアエタコト by ガーベラ♡

「櫻井~///てめぇ~!!智に言うぞ!」
思わず、掴みかかるカズに、

「やあ~、内視鏡でいいもの見つけたから、
ちょっと、揶揄ってみたくなっちゃってね~♪」

翔くんは涙を流して笑いながら、そう言った。


「あの~..咳は~?」

「あ~?それ?軽い気管支炎だね!
そっちも薬出しとくよ♪」




帰りの車の中。
無言で前を向いたままの俺たち。

翔くんに、まんまとしてやられた。


大学病院のエースがするにしては、
子どもっぽ過ぎる悪戯だよ...ほんとに。



でも。

お陰で、
俺たちは気付くことができたんだ。

一緒にいられることの幸せを。


当たり前に思ってる今が、
実は当たり前じゃないんだってことを。

約束された明日なんて、
どこにもないんだってことを...


『だからこそ...』



運転するカズの横顔を見ながら、
そっと手を握った。

「ありがと、カズ。
これからも、よろしくね❤」

カズは前を見たまま、
少し笑って、

俺の手をしっかり握り返してくれた。



【end】

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