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第68章 不器用distance by アロエリーナ

課長から聞いた部屋。

チャイムを鳴らしても反応が無いので
ドアノブを回したら、開いた。不用心な‥


「うわっ!二宮!?」

入るとキッチンにうつぶせで倒れていた。

慌てて抱き起こすと、うっすら目を開けた。


「ん‥まつもと‥さん?水のもうとしてたんだけど‥」

「バカ、ちゃんと寝てろ」


お姫様みたいに抱いて、寝室まで運ぶ。


「おれのこと、きらいでしょ?
なのに、なんでこんなこと‥?」


胸がチクリと痛む。気付いてたのか‥


「別に‥看病して貰ったから、返すだけ。
移ったの、オレのせいだし」


「おれ‥松本さんのこと、気になってたよ。
入社してから、ずっと‥」


潤んだ瞳で見上げられ、息が詰まる。

この気持ち、なんて伝えたらいい?



同期で 同い年で 比べられて 苛ついて

嫌い 憎い 疎ましい 居なくなればいい

だけどオレは、いつも 毎日 一日中 年中

どうしようもなく、お前のことばかり‥



「好きだよ。ま‥いや、潤くん。
水を飲ませてくれる?」


ただ分かるのは‥この唇に、触れたい。


「ん‥ふっ‥じゅんく‥」

生ぬるい水を押し込んだ舌を絡めると、
脳が麻痺して快感に侵される。

もっと欲しい‥


「おれのこと、好き?」

「わかんない‥けど、知りたい」

「ふふ、一緒に考えよ?」


不器用なオレに、二人の距離を教えて。


END

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