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第85章 君にいちばん近い椅子 by チャコ




「社長っ…ぁぁっ…んぁぁっ…」

何度目かの熱を吐き出して
大きな机にだらんと躰を預けた

「翔…大丈夫…?」

抱き起すと
僕にぎゅっと抱きついた

「しゃ…ちょう…」

…やだなぁ…だから言いたくなかったんだ…

「今まで通りにして?そのために一年黙ってたんだから」

「…でも…社長…」

「それ嫌いなの。だから僕は東京に居ないんだから。でもね…ちゃんと見てるよ…翔のこともずっと見てた…本社の掃除しながらね」

「掃除?」

「ずっと僕の傍で働いてくれる人を探してたんだ…。それで翔を見つけた」

涙が溢れて止まらない


自分の仕事が認められたから?
僕が社長だったから?

ま、それでもいいよ
僕を見て
今度は心も僕にちょうだい…


翔を抱えて隣の椅子に座らせた
乱れた衣服を少し整える

「翔はこの椅子に座って…ずっと僕の傍にいること」

初めて直接辞令を出した

翔は涙を浮かべた綺麗な笑顔で
しっかりと頷く


4月からここに翔が居る

この席から
社長に憧れを懐く可愛い翔


僕のライバルは社長の僕





***終***

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