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第94章 雨夜に咲く花、恋花火 by namako
「なんで雨なんか降るかなぁ…」
窓の外を見ながら翔君が恨めしげに呟く。
「何それ、俺のせいだとでも言いたいわけ?」
「そんなこと言ってないでしょ?」
カーテンを乱暴に閉め、翔君がソファに座る俺の隣にドカッと腰を降ろした。
「大体さ、“雨=俺”みたいのやめてくれる?」
そりゃさ、肝心な時に限ってかなりの高確率で雨が降るのは否定しないけどさ…
「智君、それ被害妄想って言うんだよ?」
ああ、そうかも知んないよ?
だけどさ、
「そんな昼間ッから浴衣なんか着込んじゃって、翔君こそ“嫌味”って言葉知ってる?」
翔君の顔が見る見る赤く染まり、キュッと唇を噛み締めた。
泣きそうな顔…。
不味い事を言ったって、自分でも分かってる。
翔君がどれだけ花火大会を楽しみにしてたのか、俺は知ってるから。
でも俺は素直じゃないから、平気で翔君を傷付けてしまう。
「俺への当て付けのつもり?」
堂々巡りに終止符を打ったのは
「もういい」
翔君の一言。
そして翔君は俺を見ることもなく、リビングを出て行った。
「なんでこうなるかなぁ?」
窓に打ち付ける雨音だけがリビングに響いた。