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第97章 Thank you everyone by みきちん


カレンダーを捲ると夏を告げる季節。

あの日から7月のカレンダーには
25日に赤い丸が付いている。


そこには毎年、同じメモが書いてある。


“天神祭”


「今年もコンサート無かったね……」

文字を指でなぞりながら翔が呟いた。

「行きたかった?」

隣に立つ翔の肩に手を回して
グッと引き寄せた。

「うん……
あれから1回も行けてないもん」

肩に頭をコツンと乗せて甘えてくる。

俺はサラサラな髪に頬を寄せて、
翔の匂いを感じる。

「もし、あの時と同じ状況になったら
俺たち…… また出会えるのかなぁ?」

どんな答えが返ってくるか楽しみで
思わず横目で翔を見た。

「……出会えないよ」

涙を目に浮かべながら答えた。

「えっ?」

「奇跡は2度、起こらないから……」

翔が俺に抱きついてきた。

「どうした?」

俺の問いかけには翔は何も答えず、
背中に回した腕にさらに力が籠った。

「智……」

俺の胸で切な気に名前を呼ぶ声に
勝手に身体が反応して、
翔をベッドに押し倒した。

「抱い……」

潤んだ目で俺を見上げる。

俺は言葉を聞く前に翔の唇を塞いだ。

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