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第98章 遠恋花 by のさまじょ
ねえ…
君はどこにいるの…?
そんなに俺のこと、嫌いになった?
触れた途端、君は居なくなった。
花火が散った。
無人の神社の境内は薄暗いから、怖がって誰もいなくて…
絶好の花火スポットだった。
一人拝殿の階段に座って、夜空を眺める。
傍らに置いた缶ビールを手に取り煽ると、また夜空に花火が散った。
「綺麗だな…」
夜空に向かって缶ビールを掲げると、また一つ大輪の花火。
乾杯…と小さく呟いて、また一口煽る。
きらきら火花が俺の身体を照らす。
ほんの一瞬だけ、俺は綺麗な彩りに包まれる。
また境内が暗闇に包まれると、俺の身体は色褪せる。
そして、真っ暗な空洞の俺になる。
「…どこ行ったんだよ…」
俺が、悪かった…
君は嫌だと言ったのに、俺は無理やり触れた。
その白肌を、その薄紅の身体を。
感じてしまったら止まれなかった。
君は…泣いたね
ごめん
何度呟いても、君は俺を見てくれなかった
あの日から、俺の中身は真っ暗で。
空洞が胸に開いていて。
人混みで、君の姿を探すけど…
出会える訳もなかった。