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第99章 voyage by アロエリーナ
あれからハワイ諸島の小さな無人島を買い取り、二人で住む別荘を建てた。
今では身体を求められることも、舌を吸って味わうような深い口づけもされないけど。
それも大切で、幸せな思い出として残ってる。
無性に懐かしくなって、呆けていた彼の唇に、ちゅっと触れるだけのキスをした。
「…ふふ、昔からリップ塗り続けてるから、還暦でもプルプルだね♡」
不意打ちに驚いて、口をぱくぱくさせる智くん。
「何だよも~年寄り扱いすんなって!くそ~足治ったら、セグウェイ乗ってバク転してやる」
彼は頬をピンクに染め上げ、ふて寝した。
…智くん。俺は昔、年をとるのが怖かったんだ。
記憶力も、体力もどんどん落ちていって、
大切だった人や思いも、忘れていくでしょ?
そんな人生の終焉に、何の意味があるんだろうって。
だけど…君と永く居ることで、変わったんだ。
いつも自然体で“今この時”を楽しんで生きてる。
過ぎゆく時間も、他人の目も…もう何も恐れない。
「…あいつらにくわす魚釣るぞ!船を出せ~むにゃ」
いつの間にか眠っていた智くん。
白髪まじりのふわふわ頭をそっと撫でると
シワの増えた長い指が、ぴくっと動いた。
共に過ごした、彼のすべてが愛おしい。
“これからもずっと一緒にいて下さい”
あの日、君がくれた言葉。
ここで終わりじゃない。いつだって始まり。
世界中に発信していくよ。
永遠にずっと、俺たちの“嵐”作っていこうね。
END