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第2章 届け、紙ヒコーキ。 by アロエリーナ

少年たちも、和也も、見上げながら
感嘆の声を上げた。


「どうやったらそんな飛ばせるの?」


少年から折り紙を貰い、和也に
折り方をレクチャーした。


「先を曲げて、重くするんだ。そうすると
高く、長く飛ばせるから」


「器用だね。折り紙得意?」


「ヒコーキしか折れないよ。父さんから
教えてもらったんだ」


照れる僕から、紙ヒコーキを
取った彼は、ペンを出して
何か書き込んだ。


「智より高く飛ばすから。受け取って」


そう言うと僕から離れて、空に向かって
思いっきり紙ヒコーキを飛ばした。



ちょうど飛行機雲と重なって、折り紙が
遥か遠くの上空を飛んでるように見えた。


僕は、フライした野球のボールを取るように
それを待ち受けて、キャッチした。



――さっき、何を書いたんだろう?


紙ヒコーキを見ると‥



“ずっと好きだった”


そう、書いてあった。


和也が遠くで、はにかんでる。



バッグからペンを出して、その下に書く。


“ぼくも”


そして紙ヒコーキを
和也の方へ、飛ばし返した。



――君に届け。

僕の想いを乗せた、紙ヒコーキ。


END

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