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第2章 届け、紙ヒコーキ。 by アロエリーナ

「嬉しい‥分かってくれる人、居なくてさ。

オレもいつか、多田さんみたいな
アーティストになりたいんだ」


彼は、無邪気な瞳をキラキラ輝かせた。


僕も自然と、顔が綻んだ。



「オレ、二宮和也。よろしく」


それから曲について沢山語り合って、

僕らは友達になった。



――あれから数ヶ月。



違う学校だった僕らは放課後、毎日のように

いつものCDショップで待ち合わせた。



「智、今日は土手ルートで帰ろうよ」


それから一緒に帰るのも、習慣になった。



――今日は天気が良かったから、

川沿いの土手から夕焼けがキレイに見える。



和也はこの風景が好きで、晴れた日は
買い食いオプション付の町ルートでなく、
この土手ルートで帰る。


暖かなオレンジ色の中‥犬の散歩をする人、
ジョギングをする人、買い物帰りの母子‥

色んな人がいる。


ふいに、視界に紙ヒコーキが入ってきた。


「お兄さん、取って!」


見ると、小学生くらいの少年たちが
紙ヒコーキを飛ばして、遊んでいた。


僕は少し細工をして、飛ばし返した。


それは高く、大きく、橙の空を斬った。

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