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第19章 たまゆら by のさまじょ&millie

雅紀…


ねぇ…聴こえる?


今年も俺、来たよ。


「潤…どう?元気にしてる?」


とっても元気だよ。


「よかった…元気そうで」


雅紀は、ちょっと痩せた?


「そうかな…最近、忙しくて…」


また、無理に身体鍛えてるんじゃないの?


「無理はしてないよ…」


ちょっと苦笑いしながら、俺を見上げてる。


「潤は…無理してない?」


そうだね…ちょっとだけ無理してるよ。


「だめだよ…無理しちゃ…心配になる…」


でも、ちょっとくらい無理しないとさ。


「ん…わかってるよ…?わかってるけど、心配になるよ…」


ネクタイを少し緩める。


眩しそうに、また俺を見上げた。


「潤が変わらずにいてくれるだけで、俺、頑張れるから…」


今日もこれから仕事なのかな…


俺のプレゼントした大きなビジネスバッグを横においてる。


スーツの皺を伸ばしながら、雅紀は立ちあがった。


「…今日はまた夕方くるよ…」


そう言って、朝もやの中、雅紀は去っていった。


出口の柵を開けると、また雅紀は俺を振り返った。


「行ってくるね…潤」

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