センチメンタルメモリー
第7章 夜蝶
「結構指名入るんじゃ、僻みとか妬みとか多くないの??」
キャスト間の問題だ。
女の子の職場だからこそ、ネチネチとした嫌がらせなどあるらしい。
「私は特にないですよ〜」
愛想笑い。
もう、作るのには慣れた。
「そっかそっか…」
お酒を飲みながら言った。
「あ、柳瀬さんは最近いいことありました??」
会話を途切らせてしまわないよう気をつける。
椿さんから習ったこと。
「いつもと変わらずだよ〜」
あははっと笑う柳瀬さん。
でもその顔にはどこか裏がありそうに私はいつも思っていた。
「んで、唐突なんだけど…今日、アフター大丈夫?」
突然、言われた“アフター”。
初めて客に言われて少し、ドキドキした。