センチメンタルメモリー
第7章 夜蝶
とりあえず私たちは近くにあった個人が営んでいる居酒屋に入った。
「とりあえず、生」
「私はレモンサワーで」
店員に告げ席に着く。
夜中なのに客は多く店内はガヤガヤしていた。
「個室あるとこがよかったかな?」
「いえ!私はどこでも嬉しいですよ!」
お通しが出され、箸が二膳用意される。
今日のお通しは肉じゃがだった。
「椿姫ちゃんさぁ〜、彼氏いないの?」
「まぁ…いないですよ」
“彼氏”と聞いて一番先に思い出すのは直哉。
彼氏なんかじゃないのに。
「へぇ、んじゃあ1人暮らしなんだ」
「いや!そこは違います!」
「ふ〜ん…」
柳瀬さんはそう言い、お通しに箸を向ける。
指が細いし、顔もかっこいい。
塩顔?って感じだ。
こんな人なら女には困ってないんだろうな…