aspirin snow
第4章 ***
車で十数分の場所。
まるで砂漠かのように何もない、その丘陵地に足を踏み入れる。
彼は雪に足をとられながらも、なだらかな丘をゆっくりと登って行き、
私はただ、新雪に残る彼の足跡を見つめていた。
ふと、振り返り、その場に佇んでいる私に気づいた彼は。
「どうしたの?」
空の青と
雪の白と
彼のダウンの黒と。
雪が反射する光に目を細めながら、ただ立ち尽くし見つめるだけの私に声をかける。
「二宮さんの愛する人が、今ここに一緒にいればいいのになって。
二宮さんが言った通り。
愛する二人の足跡だけが残る雪原って、
ポストカードになりそうなくらい、すてきなんだろうなって。」
独り言のようにそう呟いた私の方へ。
彼は数歩だけ戻ってきて。
そして私に手を伸ばした。
彼の足跡が。
まるでキャンディケインのようになって。
この白銀の世界がまるで御伽噺の中のような、そんな気にさえなって。
王子様が伸ばした手をやっとつかむことができる、薄幸の佳人のように。
そのロマンティックな光景に魔法をかけられた私は。
それが当たり前のように彼に歩み寄り、
そして、
そっと、
彼の手を握った。
「あー、疲れた。」
丘の上、
雪の上に大の字に横になった彼の横に、腰を下ろし、
彼が息を整えている間、
二人がつけた足跡を眺めていた。
同じ距離を保ちながら並ぶ、二つの足跡は。
二人の間に愛が芽生えているかのように寄り添っていて。
静寂の中、雪の音に耳を澄ましていた私の唇に、
冷え切った彼の唇が重なったことですら。
それが至極自然なことのように、思えた。
まるで砂漠かのように何もない、その丘陵地に足を踏み入れる。
彼は雪に足をとられながらも、なだらかな丘をゆっくりと登って行き、
私はただ、新雪に残る彼の足跡を見つめていた。
ふと、振り返り、その場に佇んでいる私に気づいた彼は。
「どうしたの?」
空の青と
雪の白と
彼のダウンの黒と。
雪が反射する光に目を細めながら、ただ立ち尽くし見つめるだけの私に声をかける。
「二宮さんの愛する人が、今ここに一緒にいればいいのになって。
二宮さんが言った通り。
愛する二人の足跡だけが残る雪原って、
ポストカードになりそうなくらい、すてきなんだろうなって。」
独り言のようにそう呟いた私の方へ。
彼は数歩だけ戻ってきて。
そして私に手を伸ばした。
彼の足跡が。
まるでキャンディケインのようになって。
この白銀の世界がまるで御伽噺の中のような、そんな気にさえなって。
王子様が伸ばした手をやっとつかむことができる、薄幸の佳人のように。
そのロマンティックな光景に魔法をかけられた私は。
それが当たり前のように彼に歩み寄り、
そして、
そっと、
彼の手を握った。
「あー、疲れた。」
丘の上、
雪の上に大の字に横になった彼の横に、腰を下ろし、
彼が息を整えている間、
二人がつけた足跡を眺めていた。
同じ距離を保ちながら並ぶ、二つの足跡は。
二人の間に愛が芽生えているかのように寄り添っていて。
静寂の中、雪の音に耳を澄ましていた私の唇に、
冷え切った彼の唇が重なったことですら。
それが至極自然なことのように、思えた。