aspirin snow
第3章 * *
コンコン
分厚い木の扉をノックすると、「どうぞー」という声が聞こえた。
「お食事の準備ができましたが、お部屋で食べられますか?
それとも、下のダイニングにいらっしゃいますか?」
扉をそっと開け、そう問いかけた私の横をするりと抜けて。
「美人のオーナーさんが一緒に食事してくれるって翔さんが言ってたけど、
俺には、そのオプションはつかないの?」
トトントトンと彼独特のリズムを刻みながら階段を下りていく彼の背中を追う。
ダイニングテーブルに座った彼は、
「うーん、いいにおい。
今日の夕飯は、何?」
頬杖をついて、夕飯を心待ちにする子供のような顔。
オーブンから出したばかりの、まだチーズがグツグツと音を立てている大きなラザニアを彼の前におき、
ガーリックトーストを入れたバスケットを隣に置く。
冷蔵庫からサラダを出し、コンソメスープをスープカップに注いだ。
「お好きなものを、お好きなだけ、どうぞ。」
「ここの食事はずいぶんとしゃれてるんだね。」
「そんなことは…
ごく一般的な家庭料理をお出しすることもあるので…」
二人が無言になると磁器とシルバーが触れる、澄んだ音が響く。
「碧音さんって、俺のこと、知ってる?」
やさしげに微笑みながら、じっと私の目を見ながら問いかけた、
彼の突然の言葉に、
「知っている、というのは、どういうことでしょう?」
戸惑う私。
「翔さんからは、俺の仕事のこととか、
何にも聞いてないんだ。」
彼はフォークにのったラザニアを口に運んだ。
「はい。
ご友人にここを紹介したいと、それしか…」
「そっか。」
彼はまた一口、ラザニアを口に運んだ。
分厚い木の扉をノックすると、「どうぞー」という声が聞こえた。
「お食事の準備ができましたが、お部屋で食べられますか?
それとも、下のダイニングにいらっしゃいますか?」
扉をそっと開け、そう問いかけた私の横をするりと抜けて。
「美人のオーナーさんが一緒に食事してくれるって翔さんが言ってたけど、
俺には、そのオプションはつかないの?」
トトントトンと彼独特のリズムを刻みながら階段を下りていく彼の背中を追う。
ダイニングテーブルに座った彼は、
「うーん、いいにおい。
今日の夕飯は、何?」
頬杖をついて、夕飯を心待ちにする子供のような顔。
オーブンから出したばかりの、まだチーズがグツグツと音を立てている大きなラザニアを彼の前におき、
ガーリックトーストを入れたバスケットを隣に置く。
冷蔵庫からサラダを出し、コンソメスープをスープカップに注いだ。
「お好きなものを、お好きなだけ、どうぞ。」
「ここの食事はずいぶんとしゃれてるんだね。」
「そんなことは…
ごく一般的な家庭料理をお出しすることもあるので…」
二人が無言になると磁器とシルバーが触れる、澄んだ音が響く。
「碧音さんって、俺のこと、知ってる?」
やさしげに微笑みながら、じっと私の目を見ながら問いかけた、
彼の突然の言葉に、
「知っている、というのは、どういうことでしょう?」
戸惑う私。
「翔さんからは、俺の仕事のこととか、
何にも聞いてないんだ。」
彼はフォークにのったラザニアを口に運んだ。
「はい。
ご友人にここを紹介したいと、それしか…」
「そっか。」
彼はまた一口、ラザニアを口に運んだ。