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あなたに精力うばわれちゃいます!

第6章 相互扶助

「そういえば、さっき日南くんは能力を使って私たちを部屋に瞬間移動させたみたいだけど」

「お前の言う通り、日南は瞬間移動が使える能力者だ。能力は、パートナーの精力を貰ってから数日内に初めて目覚める」


私の聞きたいことのその先まで予測して丁寧に説明してくれた。
人の気持ちも考えられる上に勘も鋭いなんて……もう能力なんていらないんじゃないかと思ってしまった。
その手前不器用な所が玉に瑕だけれど。


「数日内に能力……」

「目覚める期間も個人差があるから具体的な日数は言えないがな。まあ、お前くらいの精力でも貰ったなら、嫌でも早くに能力に目覚めるだろう」

「そうなんだ」


朝霧くんは私とは一切顔を合わせずに、胡座をかきながら窓の外の景色を眺めていた。
私はその反対方向の、大量のビニールと紙くずが入ったゴミ箱が目に入った。

どちらかと言うと夜目が効く方なので、電気のついていない暗い部屋でも結構見える。
半ば失礼だと思いながらも気になるので目を凝らして中身をその場から見てみた。


「人様のゴミ箱の中身を見て何が楽しいんだ?悪趣味にも程があるぞ」

「ウッ。あ、悪趣味って…」

私はただ気になって見ようとしただけなのに!
……まあそれが悪趣味なんだろうけど。

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