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あなたに精力うばわれちゃいます!

第6章 相互扶助

見られて初めて意識したのか、朝霧くんは立ち上がって自分のゴミ箱の中身を確認し始めた。

……ゴミ箱確認する朝霧くんの姿、なんかシュールだなぁ。

なんて呑気に思いながら、私も立ち上がって部屋の辺りを見回してみた。


「(そういえば、あんまり朝霧くんの部屋のこと把握してなかった)」


一応これからもお世話になる…かも?しれないし、ある程度の家具の配置は把握しておかなきゃね…!なんて。

……。


「(私、何舞い上がっちゃって恋人がするようなことしちゃってるんだろう。私は仮にも、パートナーってだけであって。…第一、肝心の朝霧くんからの承諾も貰ってないのに!まだ曖昧な状態なのに!)」


一人で悶々と複雑な気持ちを抱えながら、私は一つの物に目が留まった。


「……」


さすがの私にでもわかる。
間違いない…目の前にあるブツは———


「おい」

「ひっ!!」

「人のゴミ箱の中を見ようとする、挙句の果てに部屋の辺りを見回して見物し始めるとは……いい度胸してんじゃねーか」


朝霧くんの瞳が朱く煌めいた。
これは、完全に怒っている。
確かに他人の部屋をジロジロと見ていたのは失礼だと思った!
でも気になったから見ちゃった!…って言うのが事実。
しかし何故ここまで怒る必要があるのだろうか?
……いや、一つだけ心当たりがある。
それは、関係者以外立ち入ってはいけない箱庭というものに土足で踏み込んだからだろう。うん、きっとそうだ。
それでも白を切るつもりで私は呑気に首を傾げた。

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