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家政婦ノオシゴト

第5章 真実

「よく話もしていて、周囲から噂をされる程度まで来た時には彼から告白をされました。当然、私はOKしました。」

そして、中2の夏に彼氏の家でお互いに“初めて”を経験したらしい。

だが…

「中3の時に彼は外国に留学する事が決まって、卒業する前に行ってしまいました。帰って来た時には結婚しようとまで約束しましたが…留学して一年目に急に連絡が途絶えてしまい、それから一度も会ってません。」

俺は驚いた。茉莉華は泣いていた。

「すみません…。」

くすんと小さく鼻を鳴らし、後ろを向いた。泣き顔を見られたくない、と言う事は分かった。

…それは、嫌いな俺に弱気な所を見せたくないのでも、昔話を恥じて泣いているのでもない。

ただ、純粋に“彼氏”に会いたいのだ。

何か声を掛けようと喉まで出かかっていた言が、彼女の小さなしゃくりでかき消されたのだった。

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