
友恋
第8章 高鳴り
“他の子に頼んであるから”
副委員長はほんとにそう言ったのだろうか。
“ほ・ん”
副委員長が見せた校庭での動作が浮かんでくる。
「…優姫?」
カバンを肩にかけてから動かない私の肩に手を乗せながら、楓が顔を覗きこむ。
「もう…」
楓が小さく呟いた。
「橘くんごめん。優姫、今日は私と帰らせて。」
「えっ…」
悠樹がソワソワしていた身体の動きを止める。
「まだ話し終わってない話題があってさ。ガールズトークってやつよ。」
「…そっか。分かった。じゃぁゆうを頼むわ。」
振り向きたいのに振り向けない。
悠樹の顔が見れない。
