
友恋
第10章 ナミダ
「うん。前に一緒に図書室にいた子って言われてね、私たち探してたの。」
渡したいものって名簿のことかな。
いや、でもなんでわざわざ?
しかも旧図書室?
あそこはもう使わないから倉庫になってるって入学式の時に聞いた気がするんだけど。
「…ほんとに一之瀬先輩からの伝言ですか?」
私は女の先輩に聞き返す。
「そうだけど。なに?疑ってるの。」
「いや、ほら、よくこーいうのってドラマとかで見たことあるんで。一之瀬先輩のこと好きなのかなぁとか思ったり…」
私は頬を掻きながら小さく答える。
