
友恋
第11章 特別
「…お嬢…いや、楓と仲良くしてくれてありがとう。」
いきなりの変化に私は思わず背筋が伸びてしまった。
「アイツ、小さい時は身体も弱くて…なのに気ばっか強いから、上手くいかないことが多くて。幼なじみでもある俺としか遊ぶ相手がいなかったんだ。」
雅さんが部屋の窓を見つめる。
「でも、俺の両親が使用人をしてた縁で俺も見習いでこの家に入ってからは、昔のように遊ぶなんてことはできなくて。楓には寂しい思いをさせてきちゃったんだ。」
そう…だったのか。
なんだか切なくなるな。
だから楓は雅さんに“楓”って呼んでほしいのか。
