
友恋
第4章 名前
「ここでいつも食べてたの?」
楓が噴水の台に座り私を見上げた。
「ううん、あっちのベンチ。」
私は少し離れたところにあるベンチを指さした。
「なんか穴場って感じだね、楽しい!」
楓がバシャバシャと噴水の水で遊んでいるので、私は一足先にベンチへと向かった。
…誰かいる?
私の場所から完全には見えないが、人がいる気配を感じた。
「あ…」
体より先に顔を前に出し、ベンチを覗きこむと見たことのある顔がそこにあった。
「あれ、来たんだ。」
「なんで…副委員長がここに…」
ベンチには図書委員会の副委員長、私の髪をひたすら引っ張っていたあの人が座っていた。
