
友恋
第6章 表情
それでもグイッと袋を差し出してくるので、躊躇いながらもその袋を受け取り、ゆっくりと中を開けた。
「これって…」
中にはメロンパンダのキーホルダーが入っていた。
「ゆう、珍しく欲しそうな顔してたし。メロンパン好きだからピッタリだなって思って。」
「悠樹…」
「サプライズで渡したかったから、あのとき買いに行ってたんだけど、レジめっちゃ混んじゃっててさ。」
特に理由は聞かなかったが、あのときトイレに行ってたわけではなかったのか。
「…悠樹、ありがと。」
私は自然に頬が緩んでいた。
悠樹の顔が夕日で照らされる。
「お礼言われるほどのことはしてないんだけどな。」
ヘヘッと悠樹が笑い、私達は再びゆっくりと家に向かって歩き出した。
