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僕が僕を殺した理由

第2章 。



柄にもなく、煮え切らないタケに腹が立つ。そして何より、相変わらず往生際の悪い自分に腹が立つ。行き場のない苛立ちに軽い眩暈すら覚えた。


あの日、僕は僕でい続ける事を諦めたのではないのか。きっと、誰もがそれを望んでいたし、僕自身もそれが最良だと考えた。今更、息を吹き返したところで、もう遅い。僕は僕自身に何度も見えないナイフを突き刺す。


「‥‥そうだ。聞いたよ。結婚するんだって?」


僕は自分の口から吐き出されたはずの言葉に、心臓を鷲掴みにされたような気がした。それは僕自身の声でありながら、何処か遠くから聴こえてきたような錯覚さえ僕に与える。


選択肢もない一本道に、僕は後悔しているのだろうか。そして僕は今、上手に笑えているだろうか?












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