秘密のおとぎ夜話
第5章 【白雪姫】王子様
同じころ、森に迷い込んだ隣国の王子は、屋外で眠る美しい娘を見つけた。
白雪姫は、お城から着てきたドレスがビリビリに破れたので、小人が仕立てた粗末な着物を着ていたが、王子の目には今まで見たどのお姫様よりも輝いて映った。
王子は馬をつないで娘のそばに行き、顔を覗き込んだ。
白い肌にばら色の頬、紅い唇。軽い寝息は甘い香りさえするようだ。
王子は今まで自分に足を開いてきた女たちを思った。
王子の美貌と手にするであろう絶大な権力を目当てに、女官も教師も社交界で出会う貴族たちも、王子に群がった。
そして一度王子に抱かれると、今度は王子のセックスのとりこになり、どんな時でも王子を拒むことがない。
そんな環境に、王子は飽き飽きしていた。
目の前で眠る娘は自分のことを知らず、まして王子だということも知らない。
この世のものとは思えないほど美しく、自分に媚びることをしない少女。
―――奪いたい。
この世の何にも執着しないかのように横たわる、真っ白な小さな身体を犯したい。
与えられ続けて育った王子に湧き上がる、自ら奪いたいという欲望は、この瞬間、抑えきれないほど大きく膨らんだ。