秘密のおとぎ夜話
第8章 【赤ずきん】祖母の異変
「……僕のことが怖くないの?
さすが彼女の孫だね」
いつの間にかすぐそばにしゃがんで赤ずきんを覗き込んでいるオオカミ。
「わひゃ!? こ、怖くないわけじゃ、ないわ。
でもおばあちゃんのお友達なら、やさしいのかなって…」
オオカミの近さに驚き、怖気づきながらも、赤ずきんはそれほど嫌悪感を感じないまま答えていた。
オオカミ族の特徴である吊り上った目と口元からのぞくとがった牙、赤くて長い舌で、薄い唇をなめる仕草。
怖いはずのそれらがエロティックに映って目線を下げてしまえば、目の前にしゃがむオオカミの股間に、濡れて黒光りする物体が屹立している。
「あっ……」
あわてて目を背ける赤ずきん。
(あれって…アレだよね?)
少ない知識を寄せ集めて、あの大きなものは男性にしかないアレだと理解するものの。
前に一緒にお風呂に入った従兄の股間にあったものとは違いすぎる様子に、また赤ずきんは混乱していた。
「キミ、赤ずきんっていうんだね?
キミもおばあちゃんみたいに、僕と友達になってくれないかな。」
乱暴さはないが鋭い瞳が怪しげにキラリと光る。同時に、オオカミは長い爪の甲の部分で、赤ずきんのほほを撫でた。
触れるかどうかの弱さで、そっと。
「っっ…」
オオカミのまなざしに魅入られたようになりながら、襟元まで滑っていく爪の感触に反応する赤ずきん。
「わ、わたしもおばあちゃんみたいに…? お友達に…?」
オオカミの言葉を反芻しながら浮かぶのは、さっきの祖母の姿。
(気持ちよくて寝ちゃったって…言ってたわ…気持ちよくて、あんなふうになっちゃうの…?)
身体の興奮と快感を覚えたばかりの赤ずきんにとって、祖母のような激しい反応や、気を失うほどの気持ちよさは未知のもの。
それを知りたいと赤ずきんが自覚するよりも早く、少女の身体は素直に熱くなる。
赤ずきんの表情をじっと見ていたオオカミがささやく。
「友達になったらさ。すごく気持ちいい遊びを教えてあげるよ…?」