秘密のおとぎ夜話
第11章 【赤ずきん】猟師の仕事
驚いて戸口を振り返る赤ずきんの目に映ったのは、白に近いプラチナブロンドと青い瞳。小さいころから仲良くしていた、1つ年上の従兄の姿だった。
「お兄ちゃん……!!」
村の学校を卒業してからのここ2年ほどは、たまにしか見かけなくなったが、前に会った時よりも背が伸びて、大人びている。
何より違うのは、ぶっきらぼうだけどいつも優しい従兄が、大きな銃を構えて殺気を放っていることだった。
突然のことに身をすくませる赤ずきんとは対照的に、オオカミは祖母のいるベッドを飛び越えたかと思うと、一瞬で窓の外へと身体を翻らせた。
「またね、赤ずきんちゃん」
状況にそぐわない甘い声で挨拶を残して。
「待て!」
従兄が窓に駆け寄り、再び銃を構えた時には、オオカミの姿は暮れかけた森の中に消えていた。
従兄は諦めて肩から銃を下ろし、振り返る。
そこにはやっと起き上がったという風情の、全裸の赤ずきんが座っていた。
従兄は思わず銃を投げ捨てて駆け寄る。
「赤ずきん!大丈夫か!?」
赤ずきんは状況を飲み込みきれない様子で、こくんとうなずく。
「怪我は?どこも痛くないか?」
聞きながら、部屋の中の様子や赤ずきんの身体に異常がないか、素早く目を走らせる。
赤ずきんがまたうなずくと、少し安心したように息をつく。
そして改めて赤ずきんの様子に目をやり、ゴクリと唾を飲み込んだ。
丸みを帯びた小さな身体を隠すものは何もない。
まだ発達途中らしい胸のふくらみは、それでも女を主張してつんと上を向いている。
その乳房も、足の付け根の薄い茂みも、情事の後だと言わんばかりに、しっとりと濡れているのが分かる。
何より自分を見上げる少女の表情は“女”のもので。
快楽に浸された後の、恍惚としたその顔は、自分の知らない赤ずきんだった。