秘密のおとぎ夜話
第11章 【赤ずきん】猟師の仕事
「…ひどいことされたのか?」
従兄の問いに、赤ずきんは答える。
「ううん、ひどいことなんか、なにも。
お兄ちゃん、オオカミさんを殺すの?」
赤ずきんは、友達になったオオカミが従兄に撃たれそうだったさっきの場面を思い出し、心配そうに聞いた。
「…これは獲物用の麻酔銃。そそもそもオオカミは半分ヒトだから殺せない。
けどさっきの赤ずきん見たら…」
従兄はまた少し殺気をまとい、こぶしを握りしめた。
「俺、父さんに習って猟師の仕事してるだろ。
食べ物を捕ってくるのと、危険から村人を守るのが俺たちの役目なんだよ。
お前の母さんが心配してる。おばあちゃんちから帰らないから見てきてほしいって。」
「あ…ごめんなさい。でも、オオカミさんは危険とかじゃない、と思うの。
おばあちゃんだってオオカミさんとお友達なのよ!」
前のめりになって力説し始めたその時、コプ…と音を立てて、赤ずきんの股間から白い液体がこぼれ出た。
「あ…あっ!」
流れ出る粘液の感触に、身体を震わせる赤ずきんを見て
「でも!赤ずきんまでこんな、汚されてるじゃないかっ……」
従兄の目に怒りが宿る。
「こ、これは、オオカミさんに、『遊び』を教えてもらったの…
怖い生き物だと思ってたけど…やさしかったよ…?
とっても、気持ちよかった、し…。」
恥ずかしさよりも従兄の怒りを鎮めたくて、ひどい目にあったのではないと赤ずきんは言葉を重ねる。
でもなぜか従兄の怒りは募っていくようで、その身にまとう殺気は増すばかり。
――――シュボッ。
その時、部屋の中に明かりがともった。
「あ~、よく寝た…」
祖母ののんきな声がした。