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秘密のおとぎ夜話

第15章 【赤ずきん】壁の向こう

はあ、はあ…

赤ずきんは乱れた息を整えようともせず、
森の中を急いでいた。


なぜか、ダメだった。

あのまま西のオオカミに入れられたら、
きっと今まで感じたことのないような
快感がもらえると
わかっているけど…

とっさに拒んでいた。

いつものオオカミが、西のオオカミを止めて、
赤ずきんを帰してくれた。

「ごめんなさい……ごめんなさい、でも
何か違うの……ぐすっ」

何かがちがう。
絶頂の幸福感の中にいても、2つめの肉棒を
受け入れることが急に
ダメなことに思えた。

楽しかった遊びが、今日は続けられなかった。

そのことに混乱した赤ずきんが
今、向かっているのは――――

町はずれの祖母の家と、オオカミのテリトリーである森の奥の
ちょうど真ん中。

猟師の小屋だった。

初めてのとき以外は、
赤ずきんはオオカミの痕跡を必ず洗い流して
猟師の従兄に会いに行った。

でも今日は、2人のオオカミに
愛撫され、貫かれ、注がれたままの身体。

とにかく、顔が見たかった。
混乱する自分をなだめて、落ち着かせてほしかった。
叱ってくれてもいい。

小屋が見えた。
赤ずきんは疲れを忘れて小走りになる。

掘っ立て小屋に近い丸太小屋の壁には
隙間があり、
近くまで行くと中で何かが動くのが見えた。

お兄ちゃんが、いるんだわ。

「お兄ちゃ……」

赤ずきんがドアに向かおうとした時。


「あ…んん…」

知らない声がした。



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