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秘密

第2章 事実

長瀬くんの車に乗ってパパの病院に向かう

ずっと無言

ルナは車の窓から流れていく景色を見続けていた
どこ此処…

森みたいな?
いや森だね

こんなところに病院が?

もっと普通なところあったでしょ
なにスターだから一般人が行くとこには行けません的な

「ここ」

どーせ森の中だしボロボロ…
き、きれい
豪邸みたい

「ほら行くよ」

車を降りてその病院に入ると
身分証明書とかいろいろ出さないとダメで
病院に来るの初めてだから
これが普通なのか異常なのかもわからない

まぁ家族だしすんなり入れたんだけどね

パパのいる病室に入ると酸素マスクを付けて点滴で繋がれているパパがいた

なにこれ…

こんなに弱かったの?昨日まで普通だったじゃん

こんなに痩せてたっけ

「ぱ、パパ?」

「ルナ…?」

「そうだよ…その…大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないかもな…」

軽く笑いながら言うんだ
この時パパがどれだけ辛かったのか知らなかった

「ルナ、前俺が言ったこと覚えてるか?」

「いつ?」

「天体観測してた時」

「人は死んだら月になる、ってやつ?」

「そう、俺今日月になっちゃうかもしれない」

「………うぅ…」

何も言えなかったんだ
ただただ涙が溢れた
パパに抱きついて泣くことしかできなかった

「だから俺と約束して?晴れてる日は月を観測するって」

「雨の日は?」

「その日は俺が泣いてるかもな。だから見ちゃダメ」

「曇りの日は?」

「その日は俺が悩んでるか怒ってる日だ。だから見ちゃダメ」

「なんで見ちゃダメなの?」

「俺の弱い姿ルナには見せたくないから。今日が、今が最初で最後だ。」

「やだ…パパやだ…」

パパの声はどんどん小さくなっていく
生きているのに精一杯なんだ
きっと

「仕方ないんだよ…」

初めて見る涙

「ルナ今までありがとな…いい子してろよ…」

ピーピーピー

パパに繋がれた機械が音を出す

赤く点滅するランプ

何が起こっているのかわからない

「パパ…パパ!!」


動かない目が開いてない









死んじゃったの………?

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