
秘密中毒
第12章 告白
あの人は背中を向けていた。
自分の乱れた服を直しながら言った。
「君とセックスしようとしても、続かないんだ。その、勃起が」
「…えっ?」
今やめてくれたのも、そういうことなの?
「それは、前から…なの?」
あたしが聞くと、あの人は言った。
「君とセックスしなくなる少し前に気づいた」
「何とか最後までするために、君に口で立ててもらってすぐ入れたり…、俺、ひどかったよね。」
「誤解しないで欲しいんだ。君を嫌いになったりしたんじゃない。でも何故かできなくなったんだ。」
あの人がポツリポツリと言葉を落としてゆく。
「アメリカに行ったら、専門家に診てもらって治したいと思ってる。」
「さっき怒ってるって言ったのは、君が浮気したことにもだけど…
そうなるまで逃げてた自分にも怒ってるよ。」
『アヤが好きだよ。』『したい気持ちはあるんだ』
…あたしが恥をしのんで聞いたとき、あの人はそう言った。
それはウソじゃなかったんだね。
でも。
でも。
それでも。
「…どうして?」
やっぱりわからないよ。
「どうしてそのときに言ってくれなかったの!?」
ひとりだけじゃなくて、あたしとの問題だったのに。
どうしてひとりで抱え込むの?
…………
さっき押し倒されたことよりも悔しくて、悲しくて。
……あたしは猛烈に怒っていた。
