
秘密中毒
第15章 再出発
同じころ、空港出発ロビー。
…………
……………………
「ちょっと~葛西、ほんとに今日なんでしょうね!」
「お、おう。
杉本からはそう聞いたんだがな。
アメリカ行きっつっても朝から晩まであるからなぁ。
てか桜、水谷さんのケータイ知ってんだろ? 電話して聞けばいいんじゃね?」
「ダメダメダメなのよ~!
急に会社やめちゃって、電話してもこれからどうするかは秘密だとか言って、
全然教えてくれないんだから!
あんたからアメリカ行くって聞いてびっくりしたのよ!」
「だからって俺を運転手兼付き添いにしなくても…」
「なんか言った?」
「あ、いえ……」
「でもどーしてあんたが知ってるわけ?
あたしはアヤさんから何も聞いてないのになんか悔しい!」
「や、だから言ったろ、俺の先輩の山さんって医者がいて、同僚の杉本っつう女の子が山さんが好きで。
俺が後輩だからって前々から恋愛相談してくんのよ。
最近フラれたって話をきいてるとだな。
先月だったか、告白しようと思って山さんを無理やり連れだした公園で、泣いてる人がいたんだと。
杉本も知ってる元患者さんで、きれいな人妻で、山さんとは昔の知り合いみたいだって。
山さんがあわててその人を連れてって、杉本は置き去り。
確かに危うい雰囲気で泣いてたそうだけど、あんなに血相変えた山さん見てさ。
かなわないって思ったそうだよ。
俺も山さんが血相変えたの、一回だけ見たことあったんで
もしかして水谷さんのことじゃないかって聞いたら、そうだっていうんだ。」
「ふうん。なんかわかんないけど、その山さんとやらがアヤさんに横恋慕ってことね!!」
