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秘密中毒

第3章 慰め


手早く後始末をして、卓也さんがあたしの隣に横になる。

卓也さんはあたしが拭いてあげようとすると、

「いいよいいよ」と断る。

あの人の時は、前戯も後始末もあたしの役目だったから…

なんだか悪いような気がしてくる。


まだ白い霧がかかった頭でそんなことを思っていると。


卓也さんがぽつりと呟いた。



「アヤちゃんがイクにはどうしたらいいのかな………」



「えっ?」

あたしの頬をなでながら卓也さんが続ける。

「アヤちゃん、いつも最後までイッてないよね?」


意外な言葉に、頭の霧が晴れて行く。

卓也さんのまっすぐな雰囲気に触れて

自然とホントのことを話す気になってた。

「…あたしね、セックスでイクって経験がないの。

だからそれがどんなものかもわからないんだ。」

「そうなの?ご主人でもイカないんだ?」

卓也さんは少しほっとしたような声を出した。


「そう、一度もないの。だけどさっきもすっごい気持ち良かったんだよ?
ホントに。」

――――この上に「イク」ってのがあるなら、あたしどうなっちゃうんだろう。

そう思うくらいに、卓也さんとのセックスはイイんだ。


卓也さんは少し微笑むと、あたしの額にキスして言った。

「俺、ご主人より先にアヤちゃんをイカせたい。俺なしじゃいられない身体にしたい…」


卓也さんはあたし達の夫婦生活が当然あると思ってるから、あたしはそれを否定しない。

「フフ…嬉しい」


あたしは体質的にイキ難いのかもしれない。
もしかしたら一生ダメかもしれない。

だけど、卓也さんがあたしを満足させたいって言ってくれることが嬉しかった。

単に男の征服欲というやつなのかもしれないけれど。

男にイカされる自分を、あたしも経験してみたい。

そう思った。


(………。

こんなあたしってやっぱり、

エッチなんだよね?)


卓也さんの唇があたしの首筋を降りていくのを感じながら、

あたしは再び始まることへの期待に

身体の芯を熱くさせた。


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