秘密中毒
第4章 異変
電話には、気さくそうな若い声の女性が出た。
用件を話すとすぐに、
「診察をご希望ですね?では、午後3時ごろに医師と看護師でお伺いしますので…」
「は、はい、お願いします。」
すんなりと受けてもらえてあたしは拍子抜けしてた。
妊婦でも高齢でもないのに往診なんて、断られるかも知れないと身構えていたから。
「良かった~…………
はっ!掃除しなきゃ!」
あたしは痒みに耐えながら、着替えて慌ただしく動き出した。
…………
……………………
午後。
「ピンポ―――ン」
どこか間の抜けたチャイム音が響く。
そっとドアを開けると、ハタチそこそこに見える看護師がいて
にこやかに電話と同じ声で言った。「水谷さんですか?はじめまして、丸岡診療所の杉本です♪」
丸い頬にえくぼがついた、キラキラの笑顔。
(ま、まぶしい!)
あたしはつられて笑顔になりながら、後ろに立つ長身の白衣姿に目を移す。
「………!」
看護師の可愛さに和んだ直後、医師の顔を見た瞬間にあたしは激しく後悔した。
この診療所に電話したことを――――――