秘密中毒
第4章 異変
(相手は仕事なんだし、意識する方が恥ずかしいよね…
しかも産婦人科に行きたくないからってわざわざ呼んだんだから。
しっかりしろ!がんばれあたし!)
「で、ですよね!じゃあ、どうぞ…」
今度は医師のほうが驚いたような視線をあたしに向けているのを意識の隅でとらえながら、2人をリビングに通す。
そこで医師が思い出したように口を開く。
「申し遅れました。山田です。どこか横になれるところはありますか?内診しますので。」
「やま、だ…せんせい。」
あたしはなんとなく、名前を復唱していた。
丸岡診療所なのに、丸岡先生じゃないんだな。
山田っていうその名前はやけにノスタルジックにあたしに響いた。
医師の声は柔らかな低音で、あたしの背中の奥のほうにくすぐったいような感覚を残したから
そのせいだったかもしれない。
(声までイイって、反則でしょ………やばい、ドキドキしてきた!)
それに内診ってあれだ。寝転んで、足を開いて、先生が指とか入れて……うわあぁぁ!!
「水谷さん…?」
「はっっ!? あ、はい!こっちです!」
あたしはそこで妄想をストップさせて、自分の寝室に2人を入れた。