秘密中毒
第2章 情事
(はああぁ、気持ち良かった~~~……)
卓也さんに駅の近くまで送ってもらい、別れた後の電車の中で、あたしはそっとため息をついた。
まだ気だるい下半身や、いつもより熱い自分の頬に気づく人がいないように、ドアの近くで身体を縮こめる。
あんなにすっごく気持ち良かったけど。
でも…………。
(好きじゃない、んだよね)
卓也さんにドキドキしてないあたし。
だから、不倫の定義はよくわからないけど
あたしにとって卓也さんは、セフレって言うのが正しい表現なのかもしれなかった。
してる最中に卓也さんはよく、あたしに「好き」って言わせる。
そうするとお互い気分が盛り上がるし、まさか「好きじゃない」なんて言えないもん。
卓也さんだってきっとそれはわかってるんだよね。
お互いに身体だけの、楽しいだけのお付き合い。
卓也さんには奥さんも子どももいて、仲良くやっている。
「嫁さんの裸見てもコーフンしない」なんて笑ってたけど、セックスもたまにするみたいだし。
あたしは卓也さんが奥さんと仲良くしたって、全然つらくない。
やっぱり好きじゃないからだ。
(いっそのこと、
好きに
なれたらいいのに………。)