秘密中毒
第7章 接近
―――――
―――――――。
………この音は?
「はっ!チャイム?」
今度は玄関でチャイムが鳴っている。
どれくらい眠ったんだろう。
窓の外が薄暗くなってて、お腹がものすごく空いてる。
あたしはノロノロと起き上がり、ドアの覗き穴を覗きに行った。
「えっっ??」
思わずあたしの口からもれる声。
「やっぱり居たな。開けろよ」
低音がマンションの廊下に響く。
覗き穴から見えたのは、白衣の山田くんだった。
(なんで?今日は無理なはずじゃ…)
とりあえずドアを開けて聞いてみる。
「どうして…」
「よぉ。具合は?」
山田くんの後ろに当然いると思った杉本さんがいなくて。
「…どうして…?」
寝起きで高熱の頭では事情が理解できず、同じセリフをつぶやくあたし。
「往診じゃなくて見舞い。手が空いたから。…声が死んでるって杉本が心配してたぞ。」
あたしの許可もなく靴を脱いでリビングに行きかける。
「ちょ、ちょ、ちょっと――――」
あたしは追いかけようとして、玄関の段差に足を引っかけていた。
「!!」
崩れたバランスを取り戻すことができず、あたしは盛大に転んだ。
――――と思った。