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秘密中毒

第2章 情事



マンションに着いて鍵を開ける。

築年数が古いので、セキュリティも厳重ではなく
誰でも戸口まで行けるタイプの建物だ。

結婚して、とりあえず決めた住居。
対面キッチンのリビングと、他に2部屋ある。

子どもができたら、新居を建てたり、もっと広い家を探したりしていたと思うけれど。

今でも「とりあえず」のまま、住み続けている。


「ただいま~」

誰もいない玄関で習慣になった言葉を口にする。

今日は半額の牛肉を買ったから、牛丼にしよう。
お酒を飲むあの人のために、サラダとみそ汁以外に何か作ろう。



あたしの作るつたない料理を、あの人は「おいしい」って言う。
見た目がきれいなわけでもないし、味付けが絶妙ってわけでもないのに

あの人はいつも「おいしいよ」って言うんだ。


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