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秘密中毒

第11章 虚言



長身の山田くんが、壁に両肘をついている。肘と肘の間にあたしの顔がある。

彼の胸板が目の前にあって、彼の呼吸と視線を感じる位置にいて

閉じ込められてる感じになってる。


「どう、したの………?」

キスで息を乱されてしまった照れと、

彼の目がいつもと違うことへの恐れで上を向けないまま、あたしはきいた。


「やらせて」


「…へっ??」

頭の上で響いた言葉に、あたしは思わず顔をあげてしまった。
山田くんと目が合ってしまう。

「遊び相手だろ?お前の身体で遊ばせてくれって言ってんの。」


いつも意地悪をしかけてくる山田くんは、こんな言い方はしない。

それに眼が笑ってもいなくて……
少し怖い。
「怒ってる?」

もしかして、と頭に浮かんだ疑問を口にすると

山田くんの目が少しだけ揺らいで。

やっと、口の端が少し上がった。いつもの顔だ。
そんな表情の変化だけで、あたしはまたドキリと心臓をはねさせてしまう。

「男は性的に興奮すると乱暴になるって知らないのか?」

言葉のとおり、荒々しい手つきであたしの薄いカットソーの裾をまくり、肌に触れてくる。

「や…っやだっ」

あたしの肌はさっきのキスで火照っていて、
山田くんの手の動きに敏感に反応する。

「何がヤだ?」

「だって、急に来て…こんな、玄関でっ…あ、んっ!」

そう。ここは玄関から上がってすぐの廊下で、鍵はかかってても誰かかが通れば足音が聞こえる。

つまり、声を出せば外に漏れてしまうわけで。


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