
秘密中毒
第11章 虚言
あたしと一緒になって座り込んだ山田くんが小さく
「あー…くそっ」とつぶやいた。
あたしだけ、気持ち良くなっちゃったから。
山田くんがしたかったから来たのに、あたしは嫌だって言って、なのにこんなになっちゃったから。
さらには何か、あたしから一気に出たらしい液体が…山田くんの手をしとどに濡らしてもいる。
「ご、めんなさ…」
あたしが荒い息のまま謝ろうとしたら、山田くんが遮るように言った。
「おまえ、どんな顔してるかわかってんのか?」
「え…?」
「すげーかわいいんだけど」
「え…?」
想定外の言葉に、とっさに反応できない。
カットソーは胸までまくれてて、ブラもスカートも脱げちゃって
ショーツをグッショリ濡らして床に座り込んでるあたしはとてつもなく恥ずかしい格好なのに。
(かわいいって言ったの?山田くんが?)
でも次の言葉で、あたしはさらに混乱してしまう。
「そんな顔…他のやつにも見せてんだ」
「……」
一瞬、意味がつかめなかった。
あたしが結婚してるから?
でも、それなら「他のやつ」と言われなきゃいけないのは山田くんのほうだ。
「あ…」
突然、あたしは悟った。
山田くんの今日の態度がおかしかったこと。
今の言葉。
(知ってるの…?)
卓也さんのことか、葛西くんのことか、その両方。
なんで、どうして!?…頭の中でその言葉が回りだそうとするけれど。
どうして知っているのかわからないけど、きっといつか秘密は漏れるんだ。
一番知られたくない人に。
これは、そう。
秘密を作った、罰なんだ…。
あたしは絶望的な気持ちで、言った。
「あたしは、山田くんの遊び相手なんでしょ?
だったら他に誰と遊ぼうが、関係ない。」
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