
秘密中毒
第11章 虚言
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なんで、こうなったんだろ。
「んっ……!んっ……!」
ドロドロにふやけていても、すごい圧力で中をかき分けてくる山田くんの熱さがじかに伝わってきて
あたしをかき乱す。
だめなのに。
「……ぁっん!いれちゃっ・・・!」
だめって言ったのに。
山田くんはコンドームを持っていなくて、あたしのうちにもなかったのに。
彼はもう止められなくて。いや、止められないのはあたしも、かもしれない。
あたしのベッドの上、熱に浮かされたようになってるのは、あたしだけじゃないと思う。
あたしが「ほかの誰と遊ぼうが、関係ない」って言ったとき。
山田くんになじられてもいいと思った。呆れられて、嫌われてしまえばいいって。
静かだから恐る恐る顔を見上げてみれば、彼はちょっと口の端を上げていて。
「そうだな。俺はお前の体で遊べればいい。」
「・・・・・・」ズキン。
「今日もちゃんと満足させてくれるよな?遊び上手の水谷アヤさん」
「・・・・・・」ズキン、ズキン。
そう、やきもちとか、叱ってくれることなんか期待してもだめなんだ。
遊べればいい・・・あたしと同じ意味のことを彼が言っただけなのに、痛い。
いつもみたいにあやとりって呼んでくれなかったことが、痛い。
心が痛いのに、身体の熱は上がっていって、山田くんに鎮めてもらわなければどうにもできないような気がしてしまう。
「―――っ!」あつ、い。
薄いゴム越しじゃなく、熱い粘膜同士の感触に、罪悪感が増す。
どういうわけか、いやじかに触れたらそれが普通なのか。罪悪感と一緒に感度も増してしまっていた。
「なんで声、我慢してんの? 隣、留守だろっ…」
隣は学生さんで、いつも夜中にしか帰ってこないけど。
隣が留守なことまでチェック済みなの?
ていうかそういう問題じゃ、ない、んだよ…
回らない頭に、少しの理性が残っていて。
あの人と暮らしているアパートでの行為は初めてで、いくらあの人が留守でも
声を上げることに抵抗があった。
仮にも、何年も前だとしても、あの人と愛し合ったことのあるベッドで。
返事したら一緒にあらぬ声が出てしまいそうで、必死に耐える。でも。
あ・・・だめ。
あ・・・すごい。
あ・・・きもち、いい。
