何人ですか?
第1章 朝日の本音
しばらくすると目まいも治まった。
意識もはっきりしていて
周りの景色も変わっていなかった。
ただ一つ、
何か違和感があった。
何かは分からない。
今すごく安心している、
でもそのことに違和感を感じた。
私はなんでこんなに安心している?
どうしてこんなところにいるのに
安堵しているんだろうか。
分からない。
分からないから怖い。
安心が恐怖に感じた。
怖い、分からない。
何が怖いのかも分からない。
''僕はあさひだから''
ふとそんな声が聞こえた。
それはあの時聞いた声と同じ声。
誰かは分からないけど懐かしく
安心する、あの声と同じだった。
その声の主がすぐ近くにいるような
寂しさを隠してくれるような
不思議な感覚だった。
私は一人じゃない。
''あさひは一人じゃない''