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第2章 薬種商

「えっと…玄関口で待っててくれてるから。ついておいで」
施設長は少し焦った様子で僕の荷物をまとめて、残った鞄は自分で持っているように言ってからさっさと玄関へ行ってしまった。
クーザから渡された小包を丁寧にしまってから、小走りで施設長についていった。



正直、吃驚した。
背は高くて、髪は彼岸花みたいな赤、瞳は臙脂色。お世辞にも友好的とは思えない雰囲気だった。
その上、見えるところだけでも額や手首に包帯を巻いているものだから、少し心許ない。
「アレク、だったな」
「えっ あっ…はい」
ふう、と息を吐いて、その人は言った。
「グレン=アインザーム。できればグレンの方で呼んでくれ」
なぜだか何も言葉が出てこなくて、黙って頷いた。
「じゃあ…アレク。行ってらっしゃい」
施設長が少し笑った。寂しそうだった。



「…いってきます」



これが、全ての始まりだった。

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