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第2章 薬種商

施設長が言うには 引き取り手は薬種商の男性で、隣町で仕事をしているらしい。孤児院からあんまり遠かったらどうしようかと思っていたけど大丈夫そうだ。

その晩、全く眠れずに暇になってしまった。
こっそり部屋を抜け出して書庫へ向かい、薬種商について少し調べておこうといくつか本を読んだ。
依頼によっては猛毒の薬から惚れ薬なんていう禍々しいものを作るらしい。一体どんな植物を使うんだろうか。マンドラゴラとかベラドンナとか、その辺りの怪しいやつを採って切ったりすり潰すんだろうか。それとも何処かの魔術士みたいに爬虫類とかを煮込んだりするのか。
だんだん薬種商とは関係ない方向に行きそうだったのに気がついて、再び本に視線を落とす。
そこには例のマンドラゴラを引き抜く人間の絵が描かれていた。不気味な根をした植物は口らしき穴を大きく開けていて、人間の方は極端に驚き、四肢をピンと伸ばして飛び上がっている。なんだか信じられないような挿絵だが、まぁ気をつけるに越したことはない。
ページをめくると薬について長々と載っていた。ここから先は恐らく挿絵なしのつまらない辞書になるだろう。それを放って、革表紙の立派な本を手に取った。期待して題目を見ると、
「…『魚の生態〜淡水魚編〜』」
かなりどうでもよかった。

結局大した収穫も得られずにすごすご部屋へ戻り、そのまま眠りこけてしまった。

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